薄暗闇で十分ですよ

ブレードランナー2049 ネタバレ感想というか個人的な感情

 体調を万全として観てきましたよ、ブレラン2049。いやなんだろ、観る前俺「ブレードランナーの感動ポインツはですね、レプリカントが命の重さを云々とかじゃなくって、やっぱ画力(えぢから)なんですよ、映像のディテールがフガフガ」ってイキってたんですけど、2049のエンディングを観た瞬間「ぐぬぬ」ってなってしまい、自分でしょーもなくショックを受けています。映像だけでは十分ではなかった。結局自分は物語というか、ブレランのディレ〜ファイナルの真エンディングに漂う、どんよりとした「薄暗闇の予感」が好きだったのだ、と分かって動揺しておる。どうしたのか俺。それとも、どうしていたのか俺。
 映画そのものは間違いなく傑作であり、ブレランの続編としてもこれ以上の物は無いでしょう。また表向き()観たかった画力(えぢから)や未来アイディア、俳優陣の熱演怪演も素晴らしかった。加点法で考えれば徹頭徹尾プラスが連打連撃倍プッシュされるアレです。それゆえにあのエンディング、過酷の極みを通り越したあとで妙に幸福な——過酷でビターで複雑でも、結局あのラストのKは、なんとか満足そうで安らかな顔をしていた——エンディング、に対する自分のスタンスと感情が全く制御出来ず、わりかし苦しんでおります。これディレクターズカット2049とかファイナルカット2049とかでエンディング変わりませんかね、って渇望するぐらい混乱している。ううむ。


その他ネタバレというか強火推しポインツ

・映画としては間違いなくブレランの続編にして強火リスペクターなのに、「言うてもやっぱ『あなたの人生の物語a.k.aメッセージ』から連なるヴィルヌーヴ映画だな」って感じがするの、ある意味凄い。やっぱ作劇テンポがリドスコと違うからですかね。下手すると押井映画よりノンビリしているよなドゥニ。しかも押井映画やブレランって、ノンビリまどろんでいるように見えて話の筋は割とスムーズに進んでるのに対し、こっちは「話の筋は割とスムーズに進んでるけど、その筋が妙に長い」という印象でガッツリ3時間キメてくる。別に長くて苦痛とかそういうのはないんですが(逆説的に3時間保たせられているという意味では凄い)、なんか物理的な意味でのびのびやったなドゥニって感じはする。


・あとどうでもいいことですが、ドゥニってツカシンっぽい顔だよね。


・架空嫁としてのジョイたんは確かに素晴らしいんですが、いかんせん「ぐーぐるはあくまのてさき」「アドビのCCとか死んでも許さねぇ気に入らねぇ。PSnet、お前もだ」「電電公社dアニメストアに金払うの本当辛い」「プライバシーをクラウドに売り渡して便利を受ける現代、頭にアルミホイルは必須だ」というタイプの老害宅としてはどうしても萌えきれぬ。と思ったら劇中でもフツーにそういうオチだったので安心して笑ってしまいました。とはいえ、笑いながらやっぱり「ヒロインの死」として胸に来るあの場面のパワーは流石。


・遺伝子組み換えイモムシ!!天井ホログラムにエマネーター!!自販機!!安直に流行に乗ったといえばそれまでだけどそれなりに真摯に演出されているドローン!!タスケンレイダー(違)の雷電誘導攻撃!!こき使われる孤児!!やっぱSF映画はこうでなくては・・・。


ソーラーパネル畑!!安っぽい遺伝子組み換え作物農場!!カメラが近づくほどにディテールを魅せつけにくるより寂れたLA!!膨大なジャンク山と船の死骸と焼却場(川崎工業地帯でのイベント上映なんかあったそうですが正解過ぎワロタ)!!急にドゥニドゥニとヘプタボットなアトモスフィアのウォレスさん部屋!!核汚染ラスベガス!!やっぱSF映画はry


・あとよく言われるように、やっぱ音響は今作のハイライトですね。ブルク13の常時爆音上映×IMAXでよかった。映画自体は2Dシネスコを意識して撮ったという話もあるため3DIMAXでいいかというと微妙なんですが、まぁ音のためにIMAXで間違いないです。2DのIMAXってやってないんですかね。


・「オンリーゴッドに引き続きボコボコにされる」「子犬のような顔」などと散々な言われようのライアン・ゴズリング(褒め言葉です)。言われてみると繊細なのにハードボイルド(いや、ハードボイルドを滞りなくやれるのにどこか子供のように繊細、というべきか)な俳優を、というと確かに”タクシードライバー”ゴズというのは適役だったのか。あとハリソン(老若問わず)と比べると掘りが浅くてスッキリしてて、妙な新鮮味があるんですよね・・・。


ハリソン・フォードの嫁は特撮で復活するという謎のジンクスが発生した(ローグワンのレイア姫を思い出しつつ)。


ハリソン・フォード、見るからに老いているのにバリバリとレプリをブン殴る壮健ぶりでちょっと笑った。いや前作より腕力上がってませんか最早。ベガスでのKとの対決は「えっ俺違う映画観てた?」ってなるぐらい気合い入れて爆発させてますね。


・今気がついたがこの映画のメインキャスト、人間よりレプリカントの方が多い・・・?


・監督はリドスコではなくドゥニなのに、妙にコヴナントネタ?が多くて動揺する。いえね、タイレル社とウェイランド社が仲良いとか、実際にリドスコブレランとエイリアンをくっつけようとしてるとか、そういう話は事前に知ってましたけどね、音声メディアとその保管がコヴナント胚なのは流石に爆笑するからやめれ。っていうか話の大ネタも何故かコヴナントと鏡合わせで、これは製作総指揮のリドスコがやっぱり昨今のマイブームとして推してきたのだろうか。


・留乃助ブラスター(ちゃんとクレジットされてたのか確認し忘れました・・・)というかデッカードブラスターがあんなにゴリゴリと推されるとは思わなかった。やっぱドゥニもそこはオタクなのだろうか。


・あと序盤でKが喰おうとしていたトコロテンヌードル?なんでしょうね。いや遺伝子組み換え作物ベースの合成食品なのは分かるんですけど。「二つで十分ですよ!」に続く謎メシとして映画史にその名を刻もうとしているのか。試写会では中身が確認できたというのか。


・あとどうでもいいことですが、ドゥニってツカシンっぽい顔だよね。