2019年映画感想まとめ

2019年映画です。振り返ってみると2018年に引き続き豊作。工作、天気の子、ナチス軍団、ジョーカー、KOM、ザワ・・・といった重量級も当然のように最高でしたが、個人的には実は移動都市とKIN、ガラス氏もかなり好き。

ワイルド・ストーム(ハリケーン・ヘイスト)

 ワイスト。「きっとちのうしすうが低い映画に違いない」→「あれっ? これ意外と渋くて硬派なクライムアクション映画かな? 擬似特殊部隊擬似全滅もあるし」→「と思ったらやっぱりちのうしすう落ちてく!」と右往左往する怪作。まさか「硬派に戦う犯罪者vs戦えば戦うほどおもしろ脳筋になる気象学者&電気技師」という予想の斜め上映画でした。
いやね、一応冒頭でツイスターかな?からの髑髏ストーム!!!で「こういうおバカ映画です」っていうのはちゃんと宣言してるんですよ。してるんですけど、そのあとしばらく硬派で渋い展開が続き、かと思うと途中から「「「使命を思い出す」」」ので驚くんですよ。ジャンル&ちのしすうをバンバンシフトチェンジしていく、という意味では実はMEG(メガロドン)にもちょっと近い希ガス希土類なんですよね(言い過ぎかな)。
 あーでも体感時間はちょっと長過ぎだったかな? 面白い怪作には間違いないんですけど割と疲れますね後半(実時間は意外とそこまで長くない映画だった筈ですが

ミスター・ガラス

「貴方達はスーパーヒーローやヴィランなんかじゃないわ!ただのバキ死刑囚よ!!」
「「「な、なんだってー!?」」」
 いや充分凄いじゃん死刑囚・・・とはならないのがこの映画。
 要するに信仰の映画なのだ。単に力があるないというより、力の意義やそれに対する信心のおはなし。映画中あらわれる試練はまさに大文字の「試練(貴方は神を試してはならないが貴方自身はSCP財団にバリバリ試される」であり、最後には恐ろしいほど報われる、いや「祈り(ヘルシングルビ:たたかい)」が通じる。信じていたものが世界に通用するというこの上ない幸福な映画。
 余談ですが、信仰がメディアによってバッチリ傍証されるのって微妙にスイスアーミーマン思い出しました(微妙に)。

クリード2

 撮り方はモダンなのにやってることはマジなド王道(艱難辛苦に立ち向かうド根性&人情の貴種流離譚)という基本を前作から引き継ぎつつ、ハードル側をより強化してきた続編でしたね。いやぁクリード側も本当にいい話でしたけど、ドラゴ親子にグッと来ましたよわたしゃ。一番泣いたのが政府高官と会食するときフロリアン(ヴィクター)がジャージ姿で所在無さげにしてるところです。そうだよコイツこういう時の服持ってねぇしマナーも教わってないんだよ、ただひたすら戦ってきたんだよ(勇次郎戦の刃牙並感)、それなのに離婚した母親来るしさぁ・・・って涙無しには観られないでしょ。こういう台詞以外で説明するのはいいんだけど説明の仕方が残虐な演出すこ(滂沱)。最後また走り始める親子にまたグッと来る。

ポーラー

 マッツ・ミケルセンのPV。いや他に説明しようがねぇだろ・・・最高です。直腸検査マッツに隣人マッツに教師マッツに全裸マッツに重傷マッツ拷問マッツ、眼帯ジオングマッツ。もうマッツへの愛が溢れ過ぎて無礼になってないか不安になるぐらいアレ。
 あとサ会でも話題でしたが敵があんまりにもあんまりな人達ばかりでここも魅力ですね。マッツ撮りたいだけなら敵の撮り方は雑でもよかったでしょうに(いやよくねぇし実際雑っちゃ雑なんですが)、割とむしろ楽しく遊んで撮ってるやろアレ。

ナチス第三の男

 ラインハルト・ハイドリヒは死の間際、ヒムラーに一冊の本を渡す。ユダヤ人絶滅の計画書だ。彼は言う、「奴らに死を」と。
 他に、他に言うことはないのだろうか。その場には愛妻もいたのに、家には子供達もいるのに、最期に遺すものとことばがそれでいいのか。
 他方でそれしかないのだという考え方もある。人間は死ぬ瞬間でさえ、仕事と宗教(そう、ナチスは「仕事にして宗教」なのだ)から解脱することはできないものだ。
 というわけでメチャクチャ辛い映画でした・・・おまけにハイドリヒ死んだあともダラダラと重苦しく続くのがこの映画の良い所(良い所)で、とにかく体力にキます。
 ちいさな独裁者と併せて人間と人間のみわざの極限に挑む系映画。

バハールの涙

 過酷な状況でも女性達の間の暖かさと希望がある、あるように戦うひとびとの物語。戦場や現地情勢の相当辛い話がポンポン出てくるので(こういっては不謹慎ですが)ある種の新鮮さや発見まである映画。
 ラストはご都合主義だという声もあるでしょうが、映画としてこれぐらいの救いはあってほしいし、そもそも現実側がこれぐらい救いをホイホイ出せるようにならなきゃアカンのだよなというはなしでした。
 あとこの映画わりと時間・テンポが凄い凶悪な感じというか、「戦場で激しい空爆を眺めながら待機」「妊婦を歩かせて国境線を越える」あたりの時間感覚は本当に必見です。

アクアマン

 海男モモアマン。これ一本でブラックパンサーマトリックスレボリューションとラッセン化トロンレガシーとインディジョーンズとアサシンクリードとブラッドボーンとエイリアン2(いやピッチブラック?)とアーサー王物語とAce of seafoodと怪獣が楽しめる超弩級合体超獣です(マジ そういって良ければどこかで観たような画が多いとも言えるんですけど、個々の完成度自体は高いor馬鹿笑いできて楽しめるし、海流でアクションが映える&それに頼り過ぎず陸戦や違う画もちゃんと出す等、ワザマエのレベルと丁寧さが良質でぐぐっと楽しめちゃう。もちろんアクションだけでなく各キャラも良い。ロクに面識もなく憎みあってるが実は同じ欠落抱えてる兄弟、やたらアグレッシブな姫、ライバル海賊の人・・・個人的にはウィレム・デフォーの顔が好き(急に顔の話
 あ、あと序盤でめっちゃレトロなシンセがベンベン鳴ってたのなんなんですかね。70〜80年代かよっていう。やっぱどっかトロンリスペクト的な・・・?

ファーストマン

 最初男ゴズリングマン。宇宙開発映画だ!ってもちろんそっち方面のディテールも多くて楽しいんですが、やはりそれが主題ではなくアームストロングの個人史、そういってよければ(というよりよく言われてることですが)宗教映画的な方向。ライアン・ゴズリングの哀愁漂う顔や佇まいをよりしろにしての巡礼、あるいは苦行。宇宙へ行く理由は国家側とは別に個々人が好き勝手持ってるのあたりまえなんですけど、(実際のルイ・アームストロングがどうかはさておき)インナーユニバース的な理由と信仰で宇宙に行くのは珍しい気がする(ソラリスは行く理由ではなく行った先での邂逅ですし)。
 だから月面に降り立ったとき、そこには栄光というより真理のような光景が広がっている。

翔んで埼玉

 冷静に考えるとローカルレイシズムギリギリのブラックコメディな題材ですが、原作からさらに膨らませた話とオチですっかり楽しめる映画・・・とでも思ったか。横浜県民としては日本埼玉計画に断固反対である(突然の差別意識)。

アリータ

 まるでキャメロン(監督ではない)がリドスコブレラングラディエーターに「ワイの“風景”はコレや!!」って挑んだ感じの画と「機甲術使えるひとの義体感覚はこうや!!」って義体動作でホクホクです。あと「当然あの人は出す」でビックリ(原作初出何巻でしたっけ?) それとやっぱ言われてるように最強の使い手が体現する義体(躯体とすべきか)の動きは美事でした。特に鏡前でシャドーやるヤツとか冷静に考えたらどうやったんスかね(モーキャプだと逆に難しくない?手打ち?モーキャプに手ブレ補正みたいなのかけてる?)。
 そういやよく言われる「目デカいのは慣れる」っての、事実ではあるんですけど正確には「慣れてるうちに時々あれっこれピクサーかディズニーのアニメだっけ?とたまに勘違いしかける」が混じる感じです(←

ちいさな独裁者

 うへぇってなる2019年ナチ映画第二弾。人間一人ひとり誰もがナチスに堕することを警告する映画と言われますが、のみならず「お湯をかけると3分ですぐナチスができる!」みたいな「速度と強度」で襲ってくる嫌な映画ですね・・・。「殺しは最初のハードルが高く、一度殺ってしまうとずるずる」ってよく言いますけど、ちいさな独裁者もその通りの映画で、ただし「割とその辺のみんな(最初かどうかというより平均値として)ハードル低めだよね」みたいな感がある。自分に有利と見るや空気をバリバリ読むとか、いちいち対空砲で捕虜処刑するとか、ナチス恒例(?)の宴会とか、大変嫌ぁな描写満載でグルグルしますね。銀輪&パンツの場面なんかもうほとんどシュルレアリスムかよってぐらいだし・・・。
あとラストが急に「帰ってきたヒトラー2」になるのでビビる。

スパイダーバース

 どうなんのかと思ったら正統派オリジンばなし&ゴリゴリの映像遊びでビックリ大満足です。あとスパイディ詳しくない俺でも「うぇっアース違うとその人そうなんの!?!?」ってドチャクソビビる場面ちょくちょく。あと既に方々で言われてるようにスパイディ達の質感や恐らくfpsまで違うという美事さですが、よく考えるとこの「遊び」はストーリー前半がひと段落してから本格化してきており、前半の作劇を邪魔しないという工夫もありそうですかね。
 演出的にはプラウラーさんの場面凄い。観てて割と本当に怖いしテーマBGMもバリバリ怖い。と思いきや後半のあの場面でテーマBGMが「衝撃と悲哀」を含むような感じになるって最強じゃないスか・・・。
 そういや冒頭とか地味にサム・ライミ/トビー・マグワイア版のオマージュだったのでビックリ笑いながら感動してしまいました。ライミ版好きなので・・・。

ギルティ

 実質TRPGリプレイ映画。いやTRPGというかなんかボドゲになりますよコレは。ジャンル的にはフォーンブースに近くて遠い(なにそれ)単独密室モノですが、主演のヤコブ・セーダーグレンの焦燥やイラつき、罪悪感などをこれでもかと画にしてくる。・・・してくるんですがセーダーグレンさん割と選択ミスというか悪手が多くてヒヤヒヤする。スリラー映画ってそういうものなのか(困惑)。もちろんそれがある意味では避けられないものであるという部分も含めて重く、でも最後には救いがある映画でした。

ハンターキラー

 潜水艦映画と思わせて特殊部隊冒険映画(プライス大尉並感に笑う)に司令部gdgd映画(なにそれ)もバリューセットになったお得感満載の一本。これでいて豪華過ぎないというか、サクッと観れる感触(説明が難しくてアレなんですけど)がまた良いですよコレ。魚雷型ROVとか特殊が持ってける程度のROVとか細かいガジェットや描写もなかなかGJ。ただ艦長の倫理感がニュータイプ過ぎて観てるこっちが不安になりましたが・・・結果全部オーライなの、もはやご都合主義を通り越して「一発当たったら死ぬゲーでギリギリ死なずクリアしたVtuberの配信を観ている感じ」でしたよマジで。別に亡国のイージスみたいに甘ちゃんリスク描写入れてねってわけじゃないんですけど・・・。

アベンジャーズ エンドゲーム

 極めて怠惰な感想文で申し訳ないんですけど、感無量という言葉しか出てこない・・・よかった・・・。

移動都市モータルエンジン

 原作未読マンだったので移動町とか移動村ぐらいのも出てくるって知らなかったため冒頭からちょっとビックリ。以降もひたすらけったいな画とディテールで煉獄してくるのでえがったですね。あと性根がガキなので飛行機械に弱い(性癖脆弱性)。細かい部分だと緊急避難時に強制収納される突起物類とか、ロンドン公務員の服装と装備(帽子が光るボビーに謎未来SMG持つ衛兵に謎の円盤UFO)とか、謎の超進化を遂げている小火器類とか、ディテール類の萌え&笑いでよくツボります。
 あと飛行艇周りの、なんというんだろう、質感や方向性が割とスターウォーズっぽくて笑っちゃう(でも好き・・・飛行系の乗り物が脆弱性だから・・・)んですが、呑気に笑ってたら後半マジで色々な意味でSW濃度がバンバン上がってくのでビックリした。I’m your〜ってやるか21世紀に(※本家でもやったのが辛い)。思い返すと本物のスターウォーズep9で傷つくぐらいならこっちだけで良かったなまでありますね(暴言過ぎない???

名探偵ピカチュウ

 宇宙一可愛いライアン・レイノルズ(なんだよそれ)と「ポケモンのいる異世界」でお腹いっぱいにしてくるという話は散々聞いてきましたが、観てみたら想像以上にそうしてくるストロングスタイルの映画でした。ってかこれあるんだからミュウツーの逆襲revoいらなくない・・・? ちなみに個人的には終盤のヨシダ警部のヨシダ警部顔(渡辺謙渡辺謙顔)で死ぬほど笑ったというのもある。あの一瞬のワンカットであっヨシダ警部(ケン・ワタナベ)じゃんって分かるの凄くない?いやもともとそういう顔ですけど・・・。
 そういえばポケモンのCG、ベース生物のことを考えて質感やってるということなのか、けもの系はめちゃくちゃフラッフィー(ふわふわ)でもふもふしたくなるし、フシギダネなんか「お前植物が調子良い時のツヤツヤの芽とか葉じゃん!!」という感じで謎の感動があったんですが、キーパーソンならぬキーポケモンミュウツーがフラッフィー解釈だったのはちとビックリしましたね。いや実は恐らく原作準拠で「正しい」んだとは思うんですが(ベースのあっちには毛があることがしばしば名言されているので)。モフモフしたい。

フォーリナー

 いやこれは俺全然カンフー映画観てないのが悔しかったですね。何かと言うとこの映画、「陽のカンフー映画マスター」ジャッキーが辛い目にあって序盤以降ずっとジャッキー辛い顔のまんまな映画なんですよ。そこで素人的には「ジャッキーのそんな落ち込んだ顔辛い・・・」ってなるんですけど、カンフー/武侠映画としてはこういう辛い度高い復讐劇はオーソドックスなものだそうで、あんまカルチャーショック受けるところじゃないみたいなんですね(そういう意味ではこのフォーリナーカンフー映画の骨格にアイルランド問題を投入したみたいな文脈らしい)。
しかし、しかしですよ、やっぱり俺にはあのジャッキーの悲しみをたたえた顔が辛かった・・・いや全然ジャッキー映画観てない人間が書いていいことじゃあないんですけどでもよぉ・・・。
 ちなみに映画全体としてはアイルランド問題(というかIRA内の微妙で面倒な機微や警察とのアレコレ)が色々描かれていて萌え燃えな一方、そのすぐ横でジャッキーがジャッキー映画らしい修行シーンちゃんとブチかましてくる(TLでも話題でした)という謎のコンボがおかしかったなど。いや冒険小説的にも物語まとまり的にも結構良い映画なんですけど、この合体材料でよくまとまるよなって後から考えるとふしぎ(ストーリーや設定的には全然不思議になっていない手腕はもちろん凄い)。

オーヴァーロード

 なんですか、こう、最近重量級ナチ(ナチス第三の男とちいさな独裁者)でぐぇ~ってなってたところ、軽量級の「いつものメディアライクなおナチ」が観れて、こう、不謹慎ですが「あっいつものナチスだ!」みたいなのありましたね(ろくろ)。
映画的には「割と中盤まわりのテンポが良くない」「ジェネリックメンゲレ博士が全然活用されてない(武器人間見習って・・・」「ボイス君中盤のアレはどちらかというと爆笑するからやめれ」「実はちょっと酔う」などの欠点もあるんですけど、一方で既に言われてるように「空飛ぶライアン」始め豊富な戦場ディテール類や逆に少なめ登場人物をそれなりに取り回す手腕、ナチ研究施設の小ぶりながらもしっかりしたナチっぷり&気持ち悪さ、MGとStg(当時まだMP扱いでしたっけ)大活躍など、加点もなかなか取り揃えております。
 あと酔うつっても武器人間の酔いやすさを100とするとせいぜい8~15程度の酔いですが、ジェネリックメンゲレ博士のナチ博士度が武器人間フランケンシュタイン博士の100に比べて5ぐらいしかないのだけやっぱ悲しい(これはしつこく何度でも追求するぞ)。


ゴジラ キングオブモンスターズ

 Long live the King...!

1)ギドラの一挙一動が「「「美」」」と「「「カワイイ」」」と「「「美」」」なので宅は絶対観ろ
2)マジで90年代VSシリーズ濃度80%、ガメラ3濃度4%、怪獣黙示録成分もちょっとだけ混入してた
3)アレなのは人間ドラマというか人間そのもの
4)怪獣オタクわちゃわちゃなので宅は観ろ
5)おお、ゴジラ、おお・・・(三連撃全方位波動アタック=セリザワバーニング)

 いやですね、批判意見も死ぬほど分かるというか、人間は本当に狂人しか出てこないしオルカにホイホイ引っかかる怪獣ってそれ描写として本当に怪獣への敬愛あるのか?とか分かる。分かるんですよ。しかしまずいことに俺は第一に「何か異様なもの」を観るために映画館へ向かっており、第二に怪獣が大暴れすると嬉しい(あと第三ぐらいで平成vsシリーズで育ったというのもある)。このため俺の脆弱性にKOMは完全にフィットした。危険すぎるこの映画は。
何か異様なもの、というのは映画によって色々あるわけですが(ブレランなら背景ガーとかね)、KOMのそれはドハティ監督の「怪獣大暴れすると嬉しい!!!」という意思・思想であり、それを体現するフィルムである以上、KOMは極めて濃厚な暴力性を持つ。この暴力性は性質的には映画バイオ最終作を自分ん家のファミリームービーにした(その上で結構面白い)ポール“ダメな方”アンダーソンに近いものだ。また今回幸いにも、俺個人としてはドハティの愛が俺や日本怪獣オタク一般論の愛と解釈違いっぽい点をむしろ異文化的な面白さとして楽しむことができた。ドハティの「怪獣暴れるうれちい!!!」に仕える人間ども、仕えのエリート=聖職者集団、宗教組織としてのモナーク。かれらの祈り(ヘルシングルビ:たたかい)によりついに天から降る怪獣たち。これほどの暴力映画が(俺には)面白くないはずがない!
 余談ですが、オキシジェンデストロイヤーと核の扱いについては実はある種の「アンサー」なんじゃないかと思ってたりする。俺ら日本人(こういうビッグ主語は良くないのだがここはご勘弁頂ければ)が散々核はあーだこーだって言い続けてきた以上、それは米国側だって何かしら言いたいことはあったろうし、怪獣映画文脈としても「っせーなー核効かねぇっつーなら核以上ブッ込むしかねーだろーが!」ってODが出てきてしまうのは「論理的」ではある。もちろんそれを観て日本人が文句つけるのは権利としてはあると思うのだが、ただ文句言う前にあれら描写が「考えが足りない」ではなく「考えた結果の描写なのではないか」という可能性があることには気をつけたい。核からゴジラが生まれたからこそ、鏡面反射として「さらば、友よ」となったのではないかと・・・。

プロメア

 声が結構上手い上手い言うからどんなもんかと思ったら本当に良かった&それはそうとフェアリィ星からやってきた堺雅人は上手いというか本性出し始めた途端にめちゃくちゃ何もかも燃やし尽くすのでめっちゃ笑顔になりました(滅殺開墾ビーム!!!)(いちいち解説が丁寧なんだよ!!!)
割と「燃料が多過ぎて酸素が不足しては不完全燃焼になる。酸素を入れろ酸素を」というか、差別とか福祉/搾取とかの重い話をしつつもあくまでトリガー炎熱映画ですという方針に殉じていて、観ている間も謎の安心感に包まれながら炭火焼にされた感じですね(←炭火焼って何)
 とかくトリガーがやりたいこと100分近く延々とやっており(いややりたいことやってない作品があったっけというと謎ですが・・・)、過剰合体メカ!!過剰射出!!過剰変身ヒーロー!!過剰熱血!!過剰巨大建造物!!過剰巨大ryと至福でした。
 そういや一個不意を突かれた感動ポイントがあったんですが、なにかってぇと冒頭の世界大炎上です。シュールギャグで戯画でデフォルメだけどキッチリ世界が滅んでるというか、「ああ、虐げられた人間の怒りがちゃんと世界を綺麗にキレイに滅ぼしている」みたいな・・・。

海獣の子供

 前半が「イノセンスの択捉の遺伝子を江ノ島に組み込んでみました」で後半が「2001年宇宙の旅とか大友AKIRAの遺伝子を海中にブチ込んでみました」みたいな映画でしたね・・・。たぶん原作ファンの方には「あの絵が動く」で完全クリティカル特効入るっぽいんですが、まさか未読勢でもイノセンス特効入ると思いませんでした・・・序盤の坂降りるところとかなかなか凄いですよアレ。
 あ、あと魚介類(魚介類言うな)の作画も凄まじい。カメさんとアザラシの顔すこ。あと宇宙一怖いシーラカンスが観られます。ヘリコプリオンは「俺が真打」感すごくてちょっと笑っちゃったけど。宇宙周りの話は割と台詞でドスドス説明していて(エヴァみたいに煙に巻く感じと見せかけて実際は全部分かる解説してる、というとアレですが)、話自体は夏の出会いと別れ(出会った相手が背中に宇宙背負ってるけど)に絞ってましたね。いや原作未読勢なんでどう違うのか未確認ですが

神と共に 第一章 罪と罰

 地獄にスプラッシュマウンテン(途中グルートとかハイペリオンのシュライクとか襲ってくる)ってなんぞ・・・。とにかく死後の世界の想像力について考えさせられる映画であり、「SSR貴人カードを改札機に入れる」「川流し竹筏で地獄に落とす」「コナン(シュワちゃんの)のグルグル回す棒のクソバカデカい版で罪人を轢き潰す」「50〜70年代ぐらいのオペレーター室(裁判所」など絵面が強過ぎる。
  話の筋は人情話なんですけど、とにかく画が無茶苦茶なんですよね。途中からドラゴンボール始めるし・・・(逆に言うとあんな無茶苦茶な画で人情話できてるっていうバランス感覚も凄いというか不思議というか。
 ってかこれどうやって続編やんの?と思ったら次回予告があんまりにも衝撃的でどうすればいいんですか! ドンソクさん参戦!どこが伏線だったのか全く分からない伏線!恐竜に鰐で大騒ぎだぞ!!?

神と共に 第二章 因と縁

 というわけで続編です。事前にドンソクさんの使い方が贅沢って聞いてたんですが観たら想像以上に贅沢で「いいのかそれでー!?!?」って脳内解釈割れしてました(半分大喜び半分困惑)(これ俺よりもドンソクさん映画ちゃんと観てる宅とかドンソクさん文脈好きな宅にぜってぇ観てほしい)。あと1章に比べるとトンチキ画で攻めるよりは時代劇と人情で攻める方向性に舵を切っており、同じことを二度やらない的な気遣いも感じられていいですね。ただ前作の「俺たちの戦いはこれからだ!!」エンドから直結でいきなり気絶してて味方NPCに起こされるCoD脳冒頭には笑ったが。
 というか第2章、感動のイイハナシではあるんですけど、冷静に考えると「うるせぇ被告人」「被告人を拷問する弁護人」「被告人を餌にする弁護人」「被告人をダシにしてry」などなど裁判制度としては激烈にガバ度が一章以上だな?(ぐるぐる目)

MIBインターナショナル

 黒づくめ国際版。「ちょっと撃ちたいよね」「最低出力なら大丈夫っしょ」おおブッダ、この者たちに職業倫理はないのですか!?(ここしょーもなくて割と笑った)
とまぁ笑えるところや面白いところもそれなりに多いんですけど、割とテッサ・トンプソンの学力が上下にブレブレだったり(理系特化で外星語低めということかもしれんけど研修成績優秀なんだからそうやないやろ)、終盤の伏線を回収する際に他の伏線に足引っ掛けてたり、なんか回収忘れてそうな伏線あったりと脚本的には若干?な感じ。シリーズ恒例の「スゲーしょーもない笑い」が久々に観られるという点では十分頑張ってますが、そういう意味ではMIB国際版、減点法には滅法弱い映画かもしれない・・・。
 そういやリーアム・ニーソンが師匠役者(というか父親役者)としてタイプキャスティングされてるんですが、終盤にちょっとだけスターウォーズっぽいカットがあって笑ってしまった。

ガールズ&パンツァー最終章第2話

 予想外に盛り沢山の内容でこれが60分未満とは思えずちょっと凄い。大の緩急(戦闘と日常)と小の緩急(戦闘内の機動戦と持久戦/停滞)いずれも丁寧上手で、かつ長くかったるいと思わせないタイプの長さでガンガン撃ってきましたよコレ。
 あとちょっとびっくりしたのが「崖っぷちに追い詰められた時でも/こそ、心技体(体は戦車で出来ている)を限界まで回す“競技選手たち”の苛烈さと聡明さ」みたいな感触が炸裂してたとこです。最後まで諦めない、というより、具体的にどう諦めないのか、が怜悧(熱いというより怜悧)で。

スパイダーマン ファーフロムホーム

1)トムホ可愛い
2)ジョン“ハッピー”ファブロー可愛い
3)ジェイコブ“ネッド”バタロン相変わらず可愛い
4)ゼンデイヤMJめっちゃ可愛い
5)ジェイク“ミステリオ”ギレンホール可愛いしズルい
6)最後
7)おい最後
8)最後・・・

無双の鉄拳

 マジで極悪すぎる韓国ヤクザvs我らがドンソクさん。人が良く妻思いだけど賭け事というかリスキー商売に弱いドンソクさんが悲劇と邪悪に出会い無双の鉄拳を封印解除する、まさにドンソクさ王道映画。っていうかいわゆる舐め強映画文脈でも王道ですねこれ。一撃一撃が重く「沈める」アクションが凄まじいし、なかなか沈まない中ボスや恐怖の壁ドン演出も冴え渡る。
 かようにドンソクさんアクション映画として手放しに褒められる一本でしたが、強いて難点をあげれば実際的にも体感的にも長い映画ってことですかね。アクションも多いが事件の進展も長い。体力あるときに観るのがおススメです。

天気の子

「本当の悪とは、何も知らない他人を自分の都合のためだけに利用する人のことです」
(海洋学空条承太郎)

 あるいはこれが普通の貧困映画だったならまだ「軟着陸」になったはずなのだ。万引き家族なんかそういうことだったでしょ。その上で貧しさに虐げられた主人公達が暴力に走ったとき、その被害者がただの政府や悪徳企業ならインガオホーで済む。けれどもこの映画で犠牲になるのは何の罪もない、かつ極めて大人数のひとびとだ。ご丁寧に犠牲と言っても本当の滅亡ではない、真綿で首を絞める系の終わらない滅亡、困窮の日常。とっても現代的である。
 あの二人がその犠牲の上でのうのうと幸せになるから、この映画は大好きだ。

工作 黒金星と呼ばれた男

 いやまたスゲェ映画ですねコレ。天気の子とコレで2019年度夏映画取れ高(取れ高)完全勝利ですよマジ。おっさん×おっさんの激渋スパイ映画。種々のディテール、組織のgdgd保身、北の画とBGM(いきなり異界に来ちゃった感最高)、おっさんの情念とツラ、もう宅の好物盛りだくさん。中盤の「この骨董品を“処分”してください」「お任せください」→「あれ?これ贋作じゃん?」→「これはテストだ。本物級の金を払えば背後の資金関係を疑われ、偽物適正価格だと“ナメとんのかワレェ”になって取引が御破算になる!」とかもう最高でしたね。「わりぃごめん話の上マターがマジ上になっちゃって“頂点”に直で会って(ふるえごえ」「ファッ!?」とかも萌え燃えですね(それで会いに行くまでがまた大変なんだなコレが)。
 工作のおっさん達って基本的に有能だけどごく常人で真っ当な、「仕事を真面目にやる」「ちゃんと信念がある」「仕事仲間を信じられる」「祖国の問題にキチンと向き合う」的なおっさん達であり、これがまぁしょーもねー政治情勢やらなんやらでもみくちゃにされるので興奮しますよ(錯乱)
 あと最後結構感動するんですけど同時に脳の片隅で思わず「えっ社会的に生きとったんかワレェ???(嬉しいけど一体どうやって・・・?」的なビックリもあってちょっと笑っちゃったというか、直後テロップでの史実解説も併せてなかなか微妙で長期的な流れがあったんですかね。
 とまれ工作(黒金星と呼ばれた男)、想像以上に宅向け映画だったのでオヌヌメです。「停電(自白剤)」とかパワープレイもあるよ!!!

守護教師

 ううむ、無双の鉄拳に引き続きドンソクさんアクション盛りだくさん映画やろ!と思ったらアクション2:サスペンス8ぐらいの割合でござった。勝手に俺がアクション大作と勘違いして観に行ったのが全部悪いので、サスペンス好き派の人の感想も聞きたいです・・・。
 あと体感時間が異様に長いというか、100分ぐらいの映画だけどちと前半長かった希ガス希土類なんですがどうしても比較対象が無双の鉄拳になっちゃって良くない。無双の鉄拳って実際的にも体感的にも長い映画だった記憶なんですけど、その長さの1/3はアクションがスゲー多いのが理由であり(もちろんそれと同じぐらい事件解決が長びいてるのも理由ではある)、とりあえずドンソクさんの暴力が観たい勢としてはそこの加点法でビシバシ点入れちゃうんですけど、そこんところ行くと守護教師は観客(俺)がジャンル間違えちゃって来てしまって「あれっカテエラ???」ってなり、なかなか申し訳ない感ありますね。ボクシングベースで避ける&リバーにズドンの一連の動きとかは結構良かったんですけど。

アンノウン・ソルジャー

 いや思ったより疲れますねこの映画・・・(ぐったり)。フューリー以上の戦争あるある豪華フルコース映画みてぇ(中盤の「戦争は時にダルい」的な意図的ダレも含めて)なアレで、そら満足度は間違いなく凄いですけど疲労がほぼ比例しますね。体力あるときに観てくれみんな。
 タイトルから名もなき兵士の話かなと思ったら、もちろん大意としてはそうだったのかもしれませんが、映画構造的にはメイン人物が三人ぐらいいる群像劇です。大義があろうと戦争は戦争であり、大義がなくなってのちはとにかくgdgd。名もなき英雄がいようとも状況は進展せず、帰るべき家まで失う。最後は少しだけ奇跡が起きてlife goes onやってけるよという個人史で締めくくられるものの、息苦しい映画には間違いないですね。今まで全然知らなかった継続戦争の感覚が少しだけでも味わえた有難い一本です。

ワンス・アポンア・タイム・イン・ハリウッド

 最後もうぐでんぐでんのグッチャグチャで良い話になるのズルくない?(語彙) 人生山あり谷ありだったり普通に幸福だったり泣いたり笑ったりして、さようならの日に悪党をグチャグチャバイオレンスでグチャグチャにして、最後ちょっと良いお話で終わるの、なんというか「贅沢」で嬉しくなっちゃいますね・・・。
 ああ、そういえばの最後のシーンは「なんかそれ異界とかあの世とかに向かう的な画・演出になってない?」というのはありましたね、なんとなく・・・(これは本当に画レベルなのか、それとも観ているこっちがそう思い込んでしまっているのかちょっと分からん自信ナッシング

プライベート・ウォー

 シビアな中でも立ち向かい続ける(立ち向かうこと自体が呪いであっても)人間の話。スタッフロールの最後の謝辞で若干ビックリしたんですが、メリー・コルヴィンって1956年生まれだったんですね。戦場記者歴もめっちゃ長い(劇中でも最初からベテランであることは一目瞭然でしたけどそれにしても)。「記者には二種類いる、勇敢な記者と老いた記者」「あなたの言葉だ」ってそういう・・・。スポーツクラブ身分証偽装などのディテールや帰国後ののっぴきらなさ、上司の複雑過ぎる気持ちなど、全方位隙がない感じの映画で、戦争だけでなく戦争に関わる人間の話という印象ですやはり。
 あとバハールの涙のモデルという話に偽りなかった一方、割と違う部分もあって(バハール側の作劇の話にはなりますが)ちょっとそこは興味深かったですね。
 しかし途中「「「大佐」」」が出てきて「ライスより好き(はぁと」ってアレマジなんですか・・・?(めちゃくちゃビビりましたよアレ。いや大佐がライスさんのファンだったのは有名な話ですが) しかもこれ2コマ即落ちネタにしてて、一切笑う場面がないはずの超弩級シリアス映画であそこだけ異様な笑いがあるような・・・(困惑

ジョーカー

 ホアキンジョーカー、一部の隙もないギチギチ不幸ファランクス密集隊形に圧殺されるマンだったのと、その帰結としていわゆる「あるきっかけで目覚める」ではなく「なんか凄い沢山のきっかけが煉獄みたいに延々しつこく殴りに来る」みたいな構成になっててうへぇって感じでした・・・。
 これね、よく「社会ガー福祉ガー」って話が流れていて、確かにそれは絶対間違いないし社会と福祉がマシならもう少しどうにかなる映画なんですが、問題なのは「それ以外も割とガーッッッ」な映画だということです。社会と福祉が原因8割残り2割じゃなくて、8割8割の160パワーみたいなガバ算映画なんすよ。だからゴッサムや国家を批判すること自体は超正しくても、それ「だけ」でジョーカーの悲哀、あるいは悪に対峙できるのかというとわからない感じになってしまう。おまけに「大嘘説」まである(ある上にあながち無根拠でもない)あたりもうどうしろというんだっていう。やはり危険で面白い映画ですよコイツ。
 あとジョーカーの凄いところ、やっぱりホアキンのからだですね。演技も素晴らしいが肉体が凄い。それと顔が鼻とか顎とか時々マジモンのジョーカー記号っぽく見えたり、最後の「逆光を受けて浮かび上がる顔のシルエットはホアキン/アーサーだけど、徐々に振り返って…」はもうあのワンカットで勝ってる

ジョン・ウィック3 パラベラム

もうひたすら殺して殺して殺しまくる&殺し方レパートリーを頑張って豊富にしてる映画で、ひたすら殺戮の至福がある一本。思いついたアクションをすぐフーにするし、カッコいいと思ったら恥ずかしげもなくサンプリングする(悪女のバイクアクションとか)のでいっそ清々しい。後半の人たちがメッチャ硬かったのと、寿司屋&ザ・レイド組(しっかり強いので必見なんだけど)のテンションが変なのは笑っちゃったけどw とかくひたすら暴れて殺し回るキアヌが観れるだけで幸せになれる映画でした。
あとストーリーというか世界観的にどんどんヤクザ&アサシンというか、誓約や義理(義理であって義理人情かどうかは時と場合による)が異様に重んじられるという方向になってきてますね。前作もそうでしたが今作はさらに詳しく描写された結果、コンフリクト系脆弱性がボコスカ出てきて話が進むという流れになっててビビった。これ実質組織の制度&規約設計の問題なんじゃねーの。ってか次回作やんのかよってのもビビりましたが。

HIGH&LOW THE WORST

 絶望団地スゲェ。一つのロケーションで3回もビックリさせられるとは思いませんでしたし不良映画で何故か攻城戦を観ることになるとも思わなかった。もちろんアクションもひたすら楽しかったんですけど、ナンボなんでも絶望団地戦が凄すぎて全部持ってかれた感までありますね。もともとハイローのザムって3次元集団格闘多目でしたけど、今回は本当に「日本の団地に於ける集団戦/攻城戦(そんなのある???」という異次元映像が観られます(※一応識者によると不良漫画界隈ではこういう攻城戦描写が過去作にあったらしく、そこのリスペクトじゃないか説もあるそうです)。
 ところでハイローシリーズとしての本作、ものっそい新キャラ多目だそうで(この人たち観てないドラマシリーズとかにいたっけと思ったらいなかったんですね・・・)、にも関わらず話があそこまでまとまってるのやっぱなんか凄い(こなみ)。テンポ悪くないのにもう体感で3時間ぐらいありますよこの映画。言い換えると、あれだけ大量の新キャラ投げ込んでおいてちゃんと話を取り回せる脚本の底力は割と凄い。そらキャラごとに扱いの濃淡が全くないと言えば嘘になりますが、それにしたって最大限の努力と注意が払われてる&その成果が出てますからね。
 あと新主人公枠?の楓士雄こと川村壱馬さん、なんか声がいい。いやスゲェ良い声ですよねアレ。アクションも超一流だが声が。あの、なんていうんですか、いきなりスカイクロラとかぽんぽことかレッドラインとかに放り込んでも大丈夫枠みたいな(極めて伝わりにくい例え)。鳳仙側ではもちろん小田島有剣こと塩野瑛久がセクシー過ぎる。これと轟洋介(前田公輝)ぶつけるとか何か、EXILE TRIBEはどんだけ宅を殴れば気が済むんだ(早口)。
 余談ですが、相変わらず村山可愛いよな・・・と思ってたら最後アレで納得しつつも切なさありましたねってのと、轟が実力者顧問ポジションになりつつ「えっそのコントロール能力伏線だったの」でビックリした。

フッド ザ・ビギニング

 タロビンフッドはじまり。しげるさんのエキレビ記事にて事前に「タロビンはイラク戦争ネタ」と聞いた俺「まっさか~」→観賞後俺「すんません思いっきりイラク戦争(コールオブフッド モダンウォーフェア)でした・・・」(中盤はアサクリのエンジンで作ったブラックオプスみたいな感じもある)。
 この映画は割と「聖剣無双と同じジャンル内で、いかに服装と画とタイプキャスティングで遊ぶか」みたいな楽しさがあり、「ローグワンそのまんまの役で出てくるメンデルソーン様」「ジェネリック版冬兵士フランク・グリロなポール"監督じゃない"アンダーソン」などでまず笑い、さらに「一瞬マジかよってなる凄い絶望鉱山(でもよく見ると聖剣無双の象とかほど無茶ではない」「隻狼の太郎兵が作業してる立体駐車場」「腐敗教会主催のスゲェパーティ」などで笑い、何より時代考証ガン無視のスタイリッシュ衣装でひたすら笑うという贅沢映画でした。いや割とマジで服飾・ファッション(特に高級スーツ)詳しい人が観たら素で爆笑&楽しくてしょうがない映画な気がする。偉い人が本当に良いスーツ(何かの間違いではなく背広系のジャケットです)着てるので必観です。聖剣無双も割と服飾で遊んでましたけどこっちもっと酷いぞ! 一方で兵士はマジでモダンウォーフェア兵士とか治安維持黒づくめシールダーとかジェネリック冬兵士ストライクチーム(ポールのナイフの付け方なんとかしてくださいよぉお!!)とかなので、宅は観てくれ(懇願)。
 まぁ聖剣無双のアフター・ドジョウではあるんでしょうけど、悪い意味ではなくこういう「ジャンル」としてハリウッドには年1ぐらいでポンポンお出ししてほしい。10~15年後ぐらいになんかの雑誌特集で「今こそ振り返る聖剣無双ウェーブ!」って書かれるイメージで。アレよアレ、中に「歴代聖剣のカンフー・ジョージ枠列伝」とか入ってる感じで(ろくろ)。ただこれ言っちゃあお終いなんですけど、聖剣無双って後ろにドジョウあると思われたのか・・・?ってのはまぁその、気になります・・・(いや俺好きですよ聖剣無双・・・)。
 ちなみに最後のアーマード現金輸送馬車襲撃作戦が割とミニミニ大作戦そのまんまだった(堂々過ぎるのでパクったというかオマージュですかね)のと、間男闇落ちもちょっと笑った。ってか間男さん、終盤でNTRe返され場面目撃して絶望のシーンいる???と思ったらあのラストなの流石に笑撃過ぎる(人によってはこの映画のヒロインに紫豚みを感じて苦手な人もいるのでは)。そういうけったいな映画なので宅にはぜひ観て爆笑してほしいですぞ(あと聖剣無双よりは映画としてのまとまりが良い気もするぞ!!なんかちょっと悔しいが!!
 そういえばこれ、香港資本入ってるんでしたっけ・・・と思ったら去年の映画か(終盤割と世情的にぬおってなったけど偶然だったんですね失礼。

ボーダー 二つの世界

 辛い。小川一水先生が観たら終盤のチェンジリングのところでキレそう。アーバンファンタジーの文脈で異種族生態と人種差別と描く傑作なんですが辛い。黒金星、天気の子、残された者と並ぶ2019傑作映画ですが、もう俺個人の主義思想としてチェンジリングのところが辛過ぎる。俺この映画を観て辛くなってる自分を振り返って「俺にまだこんな人間性が残ってたのか」とビックリしましたよ。あと中盤の事件も酷い。この映画はサ会分遣隊で観に行ったんですが、鑑賞後みんなで中盤の事件について「北欧どうなってんだ、マジでデスメタルと自殺とこれしかねぇのか(ド偏見」みたいに話し合ってました。
 余談ですが、中盤で真実が明かされたあと二人でイチャイチャする場面・・・の中の全裸で森ダッシュのカットが恥ずかし過ぎて辛かった。いやあのセックス(これ凄いよ)とか全裸で水浴びとかは全然平気なんですが、全裸で森ダッシュのカットだけ全く別種の凄みと辛さがある。

T-34 レジェンド・オブ・ウォー

 思ったよりリアリティよりケレン味重視で後半になるほど戦車道濃度が上がって行き、クライマックスはもう主人公とナチ野郎の巨大感情戦車道になっていくアレでしたよ。これ比喩表現じゃなくて本当に最後戦車道になっちゃうんですよ。話の大筋は娯楽作としてフィクションガン盛りな一方で細かい部分のディテールが結構リアルに固まってるのも戦車道だし、何より終盤の、

ソ連主人公「準備するからちょっと待って!」
ナチ野郎「(しょうがないにゃ〜のジェスチャー)」

 絶滅戦争中に何してんだお前ら。映画としては確実に面白いんだけど「独ソ戦でああいう文脈やっていいんだ?」みたいな困惑も若干。たぶん本当はそういうの気にせず娯楽作として観るべき(べきべき)なんでしょうけど、今年はナチス第三の男とちいさな独裁者が大暴れした後なので倫理不利補正あるよねっていうのまぁ(考え込む)。
 あとこの映画、演出が極めて脂っこいというのがあり、ヒムラーグデーリアンとナチ野郎イェーガー大佐の会話シーンでカメラをひたすらグルグル高速回転、戦車砲弾が飛ぶたびにスローモーションになる、ロマンス場面になるとBGMが油ギットギトになる等、人によっては笑いが止まらないという脆弱性ありますね。脂っこいといえば「白鳥の湖」もなかなかスゲー場面である(画的・ストーリー的には自然なんですけどBGMマジで白鳥の湖にするかぁ!?)
 あ、あとワタクシこの映画で初めて独軍の戦車用第一世代赤外線スコープ見ました。あんなんだったのか。なんかあからさまに「隊長機のツノ」文脈も兼ねており萌え燃える。他には一瞬(本当に一瞬)ですけど司令部映画成分出たのも良かったですね。「臨時司令部を設立する」で地図バッの無線ズラズラ(宅ろくろ

残された者 北の極地

 北極マッツで実質デスストDLC(割と冗談抜きでデススト)。あのすみません、2019年映画で俺一番泣いたのこの映画です。一番嬉しかったのは天気の子、一番楽しかったのは黒金星、一番価値ある辛さだったのがボーダー(無価値な辛さはep9)、そして一番泣いたのがコレ。
 ちょっとここまで恥ずかしげもなく泣いた泣いた書くのも恥ずべきことだとは思っていますが、残された者、中盤の画で本当に無意味にうるっとなってしまったのと(これ自分でも何泣いてんのか分からずマジモンのパニックになった)、最後ホンマにもうボロボロ泣いてました。ごめんなさい、感想文としてはエンドゲームよりよっぽど怠惰です(泣いた泣いた連呼ってふつう映画感想文としては最悪手ですからね)。
 とにかく余計な物がほとんどない完全に素手で勝負してくるタイプの映画でしたが(強いて言えばBGMがそこそこ油分あるかな、いやそこがまたいいんですけど)、そこ単に成功してるだけじゃなくってあのラストの根っこにもなってるのかな・・・という気もしている。

GのレコンギスタⅠ 行け、コアファイター

 劇レコⅠ。やっぱり面白いが忙しくて疲れるぞ。新規カットや追加画を追い切れずにぐぬぬってしまいましたが、後でパンフ読むと印象深いところ・滑らかなところが割と新規カット命中しており「うわっ完全に狙い撃ちされとるぞコレ」的な感覚で嬉しくなる。
 ところで個人的には「話が分かりやすくなった」というの、台詞増加よりは「アイーダ姫がベルリに辛く当たるようになったから」の方が大きい気がしました。相手の当たりが強いから、ベルリも機敏かつ一貫的に反応せざるを得なくなって/するようになって、ドラマが良く流れるというような・・・。あと単にTV版からそうだったのを俺が忘れてるだけかもしれませんが、クリムもベルリへの当たりが少し固くなっている気がして/だからこそ「感動した」以降の軟化が良い感じになってちと楽しかったですね(新規作画はないイメージだけど逢坂さんの新収録が良いのかしらん)。
 そう言われてみると情勢が分かりやすくなったというのも、実際には言うほどガード/アーミィ問題やアメリアの強引な動きってTV版でも分かりにくかった訳ではなくって(記憶補正かもしれんが)、劇GレコⅠでのそれは正確には「情勢情報がスムーズにテンポ良く出てくる」というべき気もする。
 逆に台詞増加で明確に分かりやすくなったところというと、実はクンパ大佐周りがそうであろうかと(いやまぁそこも台詞増だけでなく芝居も含まれますが)。個人的にTV版で一番わかんなかったのがクンパ大佐とアーミィの距離感だったので、劇GレコⅠで明確に「コイツ全方位狸じゃねぇか!」ってなってて良い。っていうかあのおっさん法王まで丸め込んでやがったのかよ(情勢的にはTV版でも「まぁそうなんだろうな」と推測はできるんですが、劇GレコⅠだとスッとウィルミット長官ママンをスルーして法王耳打ちですからね。無茶苦茶しよる・・・!)
 他に細かいけど好きなところ、ラストでウィルミット長官ママンがアーミィ勢に画・レイアウトでゴリゴリ圧迫されてるところですね。これこそ分かりやすくなったというヤツだろう(ちょっと笑っちゃったw

KIN

 マジで「場末の貧困犯罪」と「青春」と「SF光線銃」の三題噺作れって言われてスパッと創りましたぁッ!!!みたいな映画でござった。シンプルで良い映画という意味で、割と手放しでオヌヌメできますよこれ。なおその中では青春・家族部分が一番骨格としてキッチリしてる感もある。実はこの映画、構造的には敵と味方で家族の絆が鏡面反射・対置対比になっており、その点でも「美しい」構成だったりします。
 他方でラストの割と豪快な力技オチ(文脈や意図はちゃんとあるんだけど伏線はないみたいな、こう)は確かに賛否あるでしょうけど、俺はこの映画好きだぞ。ああいや伏線はないっていうか、こう、なんていうんですか、映画が明かに首締め用のワイヤーをガッて掲げてて「うーんそれは確かにワイヤー系武器だけどワイヤートラップ(伏線)とは言わないよね」みたいな、こう、(わかりにくい例えろくろローリング)。
 さておきこの映画、貧しい兄弟が絆を育みながらどんどん犯罪に…二人に救いはあるのか…みたいな映画(に光線銃の力というスパイスが加わったもの)ではあり、その意味ではかなりストレートな絆映画なんですけど、ビックリするのはSF部分よりむしろ「劇中の犯罪行為がバッキバキにレベル上がってく」部分だったりする。いやあの、終盤なんか映画のジャンル変わってない?ぐらい凄いことになっているので(話の流れとしては自然なのがさらに怖ぇえよアレ)、むしろラストのSFネタの方がまだ大人しかった気もする(当社比)。
 あと謎スーツ軍団が「立てばダフト・パンク、歩けばタイタンフォール」みたいな感じなのはちょっと笑ったw あの現場検証おもしろデバイスもちょっと好き。余談ですけどこの映画いちおうアフロフューチャリズム文脈になるんですかね。


スターウォーズ EP9 スカイウォーカーの夜明け

・カイロ・レンよかった
・フィンとポーよかった
・レイよかった
・陛下最強。陛下無敵。

後はただ虚無とつらみ。
2019年最後の映画これになってしまったの完全にミスでした・・・。